常滑焼の急須は蓋と胴の気密性が良いことで有名です。
このように急須の蓋と胴の間に磨き粉をつけて1個ずつ丁寧に摺り合わせます。
この作業があるから、常滑焼の急須ではお茶をおいしく淹れることができるのです。
急須ひとつひとつの胴と蓋は必ずセットになっているので、
お店とかに陳列してある常滑焼の急須の蓋を、
別の急須の蓋に乗せると微妙に合わなくなるので気をつけてくださいね。
綺麗に洗って乾かし、次の工程に進みます。
宇幸窯では急須や湯呑みを『泥漿鋳込み成形』と呼ぶ方法で成形しています。
『泥漿鋳込み成形』とは、泥漿(でいしょう)を石膏型に流し込んで成形する方法です。
泥漿とは何かと言いますと、粘土に長石、水、珪酸ソーダ等をまぜた液状の粘土の事を言い、
これに弁柄(酸化鉄)が混ざった朱色の原料を常滑焼業界では朱泥ノタと呼んでいます。
以後、泥漿の事を朱泥ノタと呼んで説明します。
1.攪拌機で朱泥ノタをかき混ぜてドロドロの液状にします。
泥漿鋳込み成形はさらに排泥鋳込み成形と圧力鋳込み成形に大きく分けられます。
今回は排泥鋳込み成形で急須の胴体を成形する方法を紹介します。
2.液状の朱泥ノタを急須胴体用の石膏型に流し込みます。
朱泥ノタは石膏型に水分を吸収され、石膏型との接地面から徐々に固まっていきます。
3.約20分経過したら石膏型を逆さまにして、まだ液状の朱泥ノタを排出します。(排泥)
さらに時間を置いて石膏型に張り付いた朱泥ノタが固くなるのを待ちます。
4.石膏型を分割すると・・・
5.内側に張り付いていた朱泥ノタが急須胴体の形になった生地が出来上がります。
6.この状態ではまだ柔らかいので、さらにゆっくりと乾燥させます。
急須の手と口部分も胴体と同じように排泥鋳込みによって成形します。
蓋については圧力鋳込みという方法でで成形しますが、またの機会に紹介したいと思います。