ずいぶんと長い間、日記の更新をさぼっていました…
常滑焼宇幸窯の急須セットも湯呑の在庫切れで欠品状態がつづいており、本当にご迷惑をおかけしておりました。
久しぶりに湯呑が焼成できましたので作業風景を報告します。
これは電気窯の上蓋を上げたところです。
酸化焼成した急須・湯呑みの地肌は、これぞ常滑焼!といった感じで朱泥色に染まっています。
写真には写っていませんが、窯の最上段には灰釉京形湯呑が、その下段に朱泥京形急須が収まっています。
そして中段には朱泥紫彩湯呑み、下段には朱泥緑彩湯呑みが並んでいます。
焼きあがった製品の窯出しをして…
これは、湯呑の高台の底を回転やすりの上で擦って滑らかにしているところです。
窯出し後の焼き物の底はざらざらしていますので、食卓等を傷つけないためにも、大切な作業です。
さっと擦るだけですが、湯呑の高台の底が滑らかになりました。
朱泥急須とのセット組の場合にはこれで作業完了ですが、黒泥急須とのセット組の湯呑はこの後で燻還元焼成を施します。
※ショッピングカートの朱泥急須セットと灰釉掛け急須セットの在庫状況を更新させていただきましたので、よろしくお願い致します。
まず最初に朱泥急須の表面に掛けて焼成する“灰釉薬”を製造します。
上の画像は灰釉薬の調合に使う原料です。
1.天然木灰 2.黄土 3.長石 4.粘土 5.鬼板
※天然木灰:天然木を焼いた灰で長珪石を熔かす釉薬原料
※黄土:黄色みの強い土
※長石:低い温度で焼き締めることのできる融剤
※鬼板:鉄化合物をふくむ褐鉄鉱の一種
上記原料と所定量の水をボールミルに投入し、数時間回転させて微粉砕しながら液状の釉薬にします。
ボールミルの栓をコックに付け替え、篩で漉しながら液状の灰釉薬を排出し、約40リットルの灰釉薬が出来上がりました。
先ほどの灰釉薬を朱泥急須の生地表面にスプレーガンで吹き付け、電気窯で焼成します。
焼成前の急須は表面に掛けた灰釉薬でざらざらとしていて、強くこすると剥がれてしまいます。
焼成前後の急須の変化の様子をご覧ください。
焼成で急須生地が焼き締まり、それとともに灰釉薬に含まれる原料が反応して溶けてガラス化し、急須生地に密着します。
灰釉薬の掛かっている部分は味わい深い艶が出ていますが、急須の表面にのみ釉薬を掛けていますので、急須の内側は朱泥の土味が残っています。
この様にして製造した急須を宇幸窯では“灰釉急須”と呼んでいます。