まず最初に朱泥急須の表面に掛けて焼成する“灰釉薬”を製造します。
上の画像は灰釉薬の調合に使う原料です。
1.天然木灰 2.黄土 3.長石 4.粘土 5.鬼板
※天然木灰:天然木を焼いた灰で長珪石を熔かす釉薬原料
※黄土:黄色みの強い土
※長石:低い温度で焼き締めることのできる融剤
※鬼板:鉄化合物をふくむ褐鉄鉱の一種
上記原料と所定量の水をボールミルに投入し、数時間回転させて微粉砕しながら液状の釉薬にします。
ボールミルの栓をコックに付け替え、篩で漉しながら液状の灰釉薬を排出し、約40リットルの灰釉薬が出来上がりました。
先ほどの灰釉薬を朱泥急須の生地表面にスプレーガンで吹き付け、電気窯で焼成します。
焼成前の急須は表面に掛けた灰釉薬でざらざらとしていて、強くこすると剥がれてしまいます。
焼成前後の急須の変化の様子をご覧ください。
焼成で急須生地が焼き締まり、それとともに灰釉薬に含まれる原料が反応して溶けてガラス化し、急須生地に密着します。
灰釉薬の掛かっている部分は味わい深い艶が出ていますが、急須の表面にのみ釉薬を掛けていますので、急須の内側は朱泥の土味が残っています。
この様にして製造した急須を宇幸窯では“灰釉急須”と呼んでいます。